新刊チェック(25/11/30-12/06)&お知らせ

Write down your voice.
本屋lighthouse 2025.11.12
誰でも

日記は歴史のかたまり、特に私的な歴史の積み重ねなのだということが、ここ最近特に意味を持っているように思えてなりません。公的な歴史(つまり政治や、権力を持っている者が営んでいるもの)がおかしなことになり、歴史として残されていくのもそのようなおかしなものになってしまうのであれば、まっとうな存在(であろうとした者)として残していく私的な歴史がなくてはならない。私たちは常になんらかの過去を参照して生きていくのだから、参照物としての過去=歴史はできるかぎりまっとうなものにしておきたいし、数も種類もたくさんあったほうがいい。

ということで、日記を主体にしたプロジェクトを始めてみます。うまくいくかはわからないけど、その試行錯誤の様子も含めて歴史になるのだから、それでよい。

Write down your voice.というプロジェクトのロゴ、みたいなもの(ロゴをクリックで企画ページに飛べます)

Write down your voice.というプロジェクトのロゴ、みたいなもの(ロゴをクリックで企画ページに飛べます)

色味は意図的に薄くしています。ちゃんと見て/読んでほしいから。マムダニの演説で発せられた「音量を上げろ」というメッセージも、ようは受け取る側の意識の問題だということ。もちろん、アクセシビリティの問題は別途考える必要があるけども。

簡単に説明すると、お店にある共有の日記帳にみんなで日記を書いて残していこうぜ、ということ。お店に直接来れない人は、各自の日記を書いてほしい。そうして書き残された日記=歴史を各々が勝手に参照して、勝手に自分ごとにして、勝手に元気をもらう。そういうプロジェクト。細かいところは修正するかもしれないけども、12月1日(火)開始で考えてます。火曜日は定休日だけど。えへへ。

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新刊チェック(25/11/30-12/06に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます

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皓星社 朝鮮植民者

9784774408712

“植民主義の矛盾に囲まれて生まれ育ち苦悩するも、敗戦へと突き進む軍国主義に飲み込まれ、みずからの道を選ぶことすら困難であった三代目植民者たち。祖父にとってあたりまえの表現が、孫にとっては耐えがたい表現であったことは想像に難くない。本書は、世代の異なる植民者のあいだの緊張感をはらんでいる”という、解説・松井さんの文章にいろいろな本が思い浮かぶはず……。『大邱の敵産家屋』はもちろんのこと、『密航のち洗濯 ときどき作家』や『越境の在日朝鮮人作家 尹紫遠の日記が伝えること』、あるいは『一九三〇朝鮮人生徒の日記』とか。最後のは再入荷手配しておきます。なお、松井さんも登壇するイベント、『まちは言葉でできている』(柏書房)刊行記念イベント「まちの記憶をひらく:共に語り、記録するという抵抗」は11月29日(土)開催です。

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白水社 高校のカフカ、一九五九

9784560024850

表4をよく見ると“もしもあのカフカがアメリカの普通の高校生だったら”とあり、それはもう面白いに決まってるでしょうという設定でありました。でも思いつかなかったね、これは。“内気な高校生カフカの思春期の情景を描く表題作、梯子を天高く伸ばす熱に浮かされる町を描く一篇など、職人技が光る不可思議な9篇”。んは〜、たのしみだね〜。

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白揚社 「恥」に操られる私たち

9784826902748

“体型や容姿に対する侮辱、生活保護に対するバッシング、キャンセルカルチャーなど、個人に対する非難や攻撃はどんどん過激化している。この現象の裏には、「恥ずかしい」と悩む私たちの気持ちにつけこみ、利益を得ようとする企業や社会システムが潜んでいるのだ”。これは大事な本だ……SNSは特に恥を加速させるし……。もちろん政治も恥を利用して人民を掌握してる。

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築地書館 マスが語る、川の記憶

9784806716983

“マスの一生を物語風に表現しながら、水辺に棲まう生き物たち(トンボ、イモリ、ナマズ、ウナギ、カエルなど)の興味深い生態を独特な感性とユーモアで語る自然科学ノンフィクション”。築地書館の自然科学本にはアンテナが常に7本くらい立っていますが、これは装丁も素敵だし8本目も立ってしまいました。きっとあなたもそうでしょう!?

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河出書房新社 イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する

9784309631950

“現代パレスチナ史の世界的泰斗が、シオニズム運動の胎動から2023年ガザ虐殺まで、その歴史をわかりやすく解説。世界水準の基礎知識がコンパクトな一冊にまとまった決定版”。帯の文言はちょっと気に入らないけど(新書というジャンルはこういうちょっと煽りっぽい文言を入れがち、なぜなら新書は「入門」だから)、著者と監訳者は信頼しているので内容は大丈夫だと思います。『ガザとは何か』と並ぶ入門書になるか。

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ことさら出版 怒りに火をつけろ

9784909967053

“虐待被害を受け、4度の自殺未遂、精神科入院、生活保護受給などを経て、措置入院の際に「複雑性PTSD」と診断された著者が、カウンセリング治療によって“適切な怒り”を取り戻すまでの記録”。小林エリコ新刊。出版元の“有名人の不祥事や、インフルエンサーの言動などに脊髄反射し、炎上させるような類の怒りではなく、人間が人間らしく生きるために、自分の尊厳を守るために、時には必要になるのが“適切な怒り”だと私は考えます”にも同意。期待の1冊。

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今週のお知らせコーナー

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①定期読書会&イベント関連のお知らせ

・11月16日(日)14時〜16時 高橋くん読書会

→今回の課題本は、三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。

・『物語とトラウマ』ゆる読書会はいったん終了。一度別のワークショップ的なものを挟んでから、別のテーマで読書会をスタート予定です。

②〈特別イベント関連〉

・〈今週だよ/選書イベント〉2025年11月15日(土)クレオパトラブックス選書祭@本屋lighthouse、開催します。人気の選書イベント、当店にて2回目の開催です。詳細&申込はこちらから

・〈出店予定〉2025年11月22日(土)西千葉で開催の「ふふふ文化祭」に出店します。本以外の出店やイベントも盛りだくさんの、けっこう大きなお祭です。2年前の第1回開催にも出店してました。詳細はこちらから。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈出店予定〉2025年11月23日(日)文学フリマ東京に出店します。詳細が公開されました。本屋lighthouseのブースは「ね-14 (南3-4ホール)」です。なんかすごいはじっこ。四隅。落ちつくね……。毎度恒例、そのひぐらし商会も同ブースで参加。『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の丹渡さんもどこかのタイミングで遊びにくる予定。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈店内イベント〉2025年11月24日(月・祝)13時〜15時にて、『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』『歴史修正ミュージアム』刊行記念イベント「アメリカの信仰・文化・歴史をめぐる闘争を考える」を開催します。登壇者は著者の加藤喜之さんと小森真樹さん、司会・進行に北村紗衣さんです。詳細と申込はこちらから

・〈店内イベント〉2025年11月29日(土)15時〜17時『まちは言葉でできている』(柏書房)刊行記念イベント「まちの記憶をひらく:共に語り、記録するという抵抗」を開催します。詳細と申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は東京〉2025年12月4日(木)19時〜21時にて、東京都菊川のナイスなビアバー&本屋のsabo beer bar & bookstoreを会場に、丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』イベント「プルーストはあくまで踏み台」を開催します。お話し相手はもちろん柿内正午。日記が好き/書いてみたい、小説や映画が好き、とにかくおしゃべりが好き、そういう人は来ると間違いなく気分よく帰れます。ノンアルコールもあるよ(私はお酒飲まないし!)詳細&申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は奈良〉2025年12月14日(日)、今年も奈良の「ほんの入り口」にてイベントやります。「関口と入り口2025ーーへロヘロたちの集い」今年は奈良マラソンを走ってからの開催。どういうこっちゃ?詳細と申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は名古屋〉2025年12月16日(火)、奈良に続いて「TOUTEN BOOKSTORE」にてイベント開催。「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」。真面目に楽しく、楽しく真面目に、この世界を考える時間。詳細と申込はこちらから

・〈店頭フェア開催中〉「わたしのみすず書房」フェア、やってます。フェア特別冊子「わたしのみすず書房」は単体購入300円税込、当店ではみすず書房の本を購入いただければ無料贈呈としています。ウェブストアにもフェアページを作りました。また、「これを機にみすず書房に挑戦だ!」という方がいらっしゃいましたら、店頭にない本も取り寄せ可能ですので気軽に連絡ください。

③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。現状iOSのみですが、Androidにも対応予定とのこと。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ

④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。

ブルースカイのアカウントを開設していました。mixi2も。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و

⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。

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出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。

この新刊チェックは無料にて配信していますが、投げ銭はいつでも大歓迎でございます(50円以上から設定可能ですので、気前が大変よろしいときなどにこちらからお願いします)。

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