新刊チェック(25/11/23-29)&お知らせ
昨日、バリューブックス運営の「本チャンネル」にて著者インタビューの収録をしました。今回は藤岡みなみさんがお相手で、新刊は11月末に刊行予定の『時間旅行者の日記』(左右社)です。予約受付中。
藤岡みなみ『時間旅行者の日記』(左右社)書影
この一年くらいずっと『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の刊行作業をしていたこと、そして近日刊行の富田ララフネ『Θの散歩』(百万年書房)のゲラを読み、という中で本書もゲラを読んでいたのですが、日記の可能性を拡張することについてぼわぼわと思考が膨らんでいく感じがありました。この3冊はセットで読んでみてほしい。
そういうようなことをインタビュー内でも話していますが(11月末に公開予定)、そのなかで藤岡さんが「タイムトラベルをするのは戦争をなくすため」という主旨のことを言っています。そのときの目や声は本気でそれを信じている人のそれで、この「なにを言ってるんだお前は」みたいに言われがちなことを揺るぎなく信じる、実現に向けて動く、ということが必要なのだとあらためて思いました。「代わりに読む」ってどういうこと?と本気で探求した友田さんもそうだけど、しょうもないこと≒現実味のないことを馬鹿にしない空気が社会には必要。
そしてもうひとつ「本チャンネル」関連ですが、本屋lighthouseの1日みたいなものが動画になってしまいました。恥ずかしい。
こちらは11月6日(木)の夕方18時(つまりこのあとすぐ)に公開とのこと。15分くらいの動画ですし、きっとうまく伝わらないことも多いのですが、「素敵な本屋さん」みたいな捉え方をされて大事なことがうやむやになってしまわないように、できるかぎりのことはやってみました。どうしてもこういう動画は「いい感じ」「キラキラ」みたいになってしまうのだけど、本や本屋が「現実の嫌な部分から目を背けていられる」人のためだけのものになってほしくないので。それはさておき、後頭部の髪の毛がぴよんとなっててウケる。三面鏡のあるおうちに住みたい。
新刊チェック(25/11/23-29に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます
現代企画室 帰還
9784773825107
“本作は、1974年にポルトガルで起きた「カーネション革命」直後、植民地アンゴラから本国へ帰還した少年ルイとその家族を描いた物語である。作者のドゥルセ・マリア・カルドーゾ自身もまた、アンゴラからの帰還者の一人であり、永くポルトガルでは封印されていた歴史である「植民地からの帰還者」の問題に文学的アプローチで取り組んだ話題作”。これは必読だ……。
世界思想社 絶望と熱狂のピアサポート
9784790718031
“絶望的なまでに健常者中心の社会を、熱狂的な〈お祭り〉でかき乱す、横浜ピアスタッフ協会(YPS)。「ピアになる」瞬間を追い求める当事者たちの活動、法人化への葛藤、それを「書く」ことの政治性……10年間の調査に基づくノンフィクション”。ほぼ同時期に刊行の『違和感のゆくえ』(いい風)とあわせて読みたい1冊ですね。
国書刊行会 夢遊の大地
9784336076977
“長引く内戦に荒廃した東アフリカ、モザンビーク。ひとりの老人と、記憶を失った少年が、戦火を逃れ、どこまでも続く道路を歩いている。焼け焦げたバスの傍らで、彼らは血まみれの死体と殴り書きされた何冊ものノートを見つける。頁に残された男の名はキンヅ。文字の読める少年は老人にノートを読み聞かせはじめ、やがて物語はキンヅの遍歴とパラレルに進んでゆく”。アラン・マバンク『割れたグラス』に続いての第2回配本。アフリカ文学が読まれる機運を『やし酒飲み』だけで終わらせてはならない……。
新評論 エコロジー階級の登場についての覚書
9784794812926
“近代人に特有の自然観、「自然は外部的で遠くから把握が可能なもの、人間社会とは無関係に存在するもの」という見方にあると分析する。その自然観ゆえに、近代人は虚構の居住世界に迷い込んでしまう。彼らにとって、居住する大地も帰属する国家も市場経済も、すべてがこの自然観(近代の認識論)に支配された抽象的存在なのである。自然を資源とみなし「無限の生産」を目指すことができるのもそのせいだ。ところが、いまや人類活動は地球の「環境容量」を遥かに超えるところまで来てしまった。そしてそこに、「終わりなき侵略戦争」が覆い被さっている”。エコロジー階級という新たな階級を作ることが必要とのこと。その通りだと思う。いま存在している階級は基本的に経済的に上か下かみたいなことが主眼に置かれているけども、もはやそういう次元ではないレベルでの「危機」が目前にあるわけで、そこから目を逸らしている場合ではない。私はエコロジー階級に属しています、属したいと思っています。いいね。まずは名乗ることから始めたい。
柏書房 帰りに牛乳買ってきて
9784760156627
“『日本のヤバい女の子』のはらだ有彩が、20年にわたるルームメイトとの共同生活を描く、著者初のコミックエッセイ”。はらださんは「本チャンネル」で紹介した『多様で複雑な世界を、いまどう描くか 12人のマンガ家・イラストレーターの表現と思索の記録』にも登場しているので、あわせてぜひ。
青土社 「ソロ」という選択
9784791777556
“社会は結婚を前提にできていて、独身者向けの本はいいパートナーを見つける方法ばかり……でも、それって本当に自分にとって必要なことなの? ソロ・プロジェクトを唱導する著者が、ひとりでいることの喜び、社会性、充実感、そして規則にしばられない最高に幸せな人生の送りかたを教えてくれる”。『結婚の社会学』とかとセットで読むのがよいか。
青土社 スプラッター映画と資本主義
9784791777525
“人体が暴力的に引き裂かれ、ズタズタにされ、切り刻まれ、切り裂かれ、バラバラにされ、溶かされ、変質し、液体として飛び散り、怪物のような忌まわしい形態に変化するとき…。私たちを魅了し続けているその表現の裏側にある資本主義という大きな潮流に目を向ける”。柿内さんへ、こちらおそらく案件です。『雑談・オブ・ザ・デッド』『会社員の哲学 増補版』
新潮社 もうしばらくは早歩き
9784103565314
“この世はわたしを動かすものばかり! 豊かでいとおしいムーブの日々。新幹線、車、飛行機、ローラースケート、台車、たらい船、象、そして自分の足――多彩な移動手段を使った先に立ち現れるさまざまな風景”。くどうれいんの新作はエッセイ集です。予約受付中。
今週のお知らせコーナー
①定期読書会&イベント関連のお知らせ
・11月16日(日)14時〜16時 高橋くん読書会
→今回の課題本は、三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。
②〈特別イベント関連〉
・〈選書イベント〉2025年11月15日(土)クレオパトラブックス選書祭@本屋lighthouse、開催します。人気の選書イベント、当店にて2回目の開催です。詳細&申込はこちらから。
・〈出店予定〉2025年11月22日(土)西千葉で開催の「ふふふ文化祭」に出店します。本以外の出店やイベントも盛りだくさんの、けっこう大きなお祭です。2年前の第1回開催にも出店してました。詳細はこちらから。この日は幕張のお店はお休みです。
・〈出店予定〉2025年11月23日(日)文学フリマ東京に出店します。詳細が公開されました。本屋lighthouseのブースは「ね-14 (南3-4ホール)」です。なんかすごいはじっこ。四隅。落ちつくね……。毎度恒例、そのひぐらし商会も同ブースで参加。『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の丹渡さんもどこかのタイミングで遊びにくる予定。この日は幕張のお店はお休みです。
・〈店内イベント〉2025年11月24日(月・祝)13時〜15時にて、『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』『歴史修正ミュージアム』刊行記念イベント「アメリカの信仰・文化・歴史をめぐる闘争を考える」を開催します。登壇者は著者の加藤喜之さんと小森真樹さん、司会・進行に北村紗衣さんです。詳細と申込はこちらから。
・〈店内イベント〉2025年11月29日(土)15時〜17時『まちは言葉でできている』(柏書房)刊行記念イベント「まちの記憶をひらく:共に語り、記録するという抵抗」を開催します。詳細と申込はこちらから。
・〈トークイベント/会場は東京〉2025年12月4日(木)19時〜21時にて、東京都菊川のナイスなビアバー&本屋のsabo beer bar & bookstoreを会場に、丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』イベント「プルーストはあくまで踏み台」を開催します。お話し相手はもちろん柿内正午。日記が好き/書いてみたい、小説や映画が好き、とにかくおしゃべりが好き、そういう人は来ると間違いなく気分よく帰れます。ノンアルコールもあるよ(私はお酒飲まないし!)詳細&申込はこちらから。
・〈トークイベント/会場は奈良〉2025年12月14日(日)、今年も奈良の「ほんの入り口」にてイベントやります。「関口と入り口2025ーーへロヘロたちの集い」今年は奈良マラソンを走ってからの開催。どういうこっちゃ?詳細と申込はこちらから。
・〈トークイベント/会場は名古屋〉2025年12月16日(火)、奈良に続いて「TOUTEN BOOKSTORE」にてイベント開催。「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」。真面目に楽しく、楽しく真面目に、この世界を考える時間。詳細と申込はこちらから。
・〈店頭フェア開催中〉「わたしのみすず書房」フェア、やってます。フェア特別冊子「わたしのみすず書房」は単体購入300円税込、当店ではみすず書房の本を購入いただければ無料贈呈としています。ウェブストアにもフェアページを作りました。また、「これを機にみすず書房に挑戦だ!」という方がいらっしゃいましたら、店頭にない本も取り寄せ可能ですので気軽に連絡ください。
③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。現状iOSのみですが、Androidにも対応予定とのこと。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ
④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです。旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。
⑤ブルースカイのアカウントを開設していました。mixi2も。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。
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