新刊チェック(25/12/07-13)&お知らせ

今週末の3連休はイベントだらけ٩( ᐛ )و
本屋lighthouse 2025.11.20
誰でも

大事なことは冒頭に!

・〈出店予定〉2025年11月22日(土)西千葉で開催の「ふふふ文化祭」に出店します。本以外の出店やイベントも盛りだくさんの、けっこう大きなお祭です。2年前の第1回開催にも出店してました。詳細はこちらから。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈出店予定〉2025年11月23日(日)文学フリマ東京に出店します。詳細が公開されました。本屋lighthouseのブースは「ね-14 (南3-4ホール)」です。なんかすごいはじっこ。四隅。落ちつくね……。毎度恒例、そのひぐらし商会も同ブースで参加。あと藤岡みなみさんの個人レーベルnululuより刊行の本たち『ぼちぼち』『超個人的時間旅行』『超個人的時間紀行』も持っていきます。『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の丹渡さんもどこかのタイミングで遊びにくる予定。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈店内イベント〉2025年11月24日(月・祝)13時〜15時にて、『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』『歴史修正ミュージアム』刊行記念イベント「アメリカの信仰・文化・歴史をめぐる闘争を考える」を開催します。登壇者は著者の加藤喜之さんと小森真樹さん、司会・進行に北村紗衣さんです。詳細と申込はこちらから

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年明け1月から『葬送のフリーレン』のアニメがまたやるということで、第1期から復習しています。この作品のテーマはいくつかあるんですが、今回気になったのは「魔法は探し求めているときがいちばん楽しいんだよ」というもの。本当にそのとおりだと思う。答えがすぐに見つかったら、あるいは見つけ出さなくちゃいけない空気に追い詰められたら、それは地獄なんじゃないの?とか思いながら観てたら途中に挟まれる広告で「AndroidでAIに検索を頼めばすぐにわかるよ!」みたいなのが流れてきて真顔になりました。象徴的すぎる。

あと、やっぱり過去=歴史に私たちは生かされているということですね。勇者一行との旅の思い出がフリーレンやその周辺人物の「いま」そして「未来」を作っている。そういうことがよく描かれている作品なわけで、これを観てから現実世界のジャパンを見ると、過去=歴史を忘却したいかのような現政治家の各種行動、そして「普通の日本人」の反応……が際立ってきます。隣国への侵略行為や戦争といった歴史は忘却&否定され、その「文脈」を無視した「いま」だけの判断(=高市言動への中国側の反応を一方的に断罪すること)がSNS上では散見され、ワイドショーでは「政治のことは政治家に任せておけばいい」「政治家の喧嘩など関係ない(一般市民は仲良くやってるし差別もない)」といった発言が(おそらく意図的に)取り上げられている。そんなのは嘘っぱちだし、「政治家に任せっきり」だったからこんな愚かな言動をする政治家が多数派になってしまったわけですが……。

魔法というのは「こんなことができたらいい」という理想を叶えるもので、つまり「現実逃避」を種にして生まれるものとも言えます。どうせ現実逃避をするなら(というか私たちはみなそうしなければ生きてはいけない)、社会を変えるという理想=魔法を追求するという現実逃避をしたほうがいい。魔法は探し求めているときがいちばん楽しいんだよ。

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新刊チェック(25/12/07-13に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます

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中央公論新社 超 すしってる

9784120059742

“時は2020年3月。東大に落ちた女子高生・サッチャーの元に届いたのは、「西東京すし養成大学」の合格通知。怪しい説明会で「シャリ化」の洗礼を受けた少女達は、大学講義を受講するうちに、水中呼吸を会得したり、手の平からワサビが出るようになったり、だんだんと「人間離れ」をしていく。未来にも社会にも背を向けて、何者にもなれないから「すし」になる”。なんだこれ気になりすぎる……前著『グッナイ・ナタリー・クローバー』も気になって仕入れているのでなおさら……。たしかに私もすしになりたい……乾いた寿司は殺されるので潤いをキープして……(『違国日記』参照)。

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日記屋 月日 季刊日記 創刊号

9784991358418

“私たちは、日記を書くこと/読むことの魅力を、さまざまな角度から深めていけるような雑誌をつくりたいと考え、ここに『季刊日記』を創刊することにしました。日本はもちろん、おそらく世界でも類を見ない、日記の専門誌です”。“たっぷり日記を読める「25人の1週間」を定番企画として、毎号さまざまな特集を組んでいきます。創刊号の特集は「日記のたのしみ」「日記とホラー」です”。先週もお知らせした「Write down your voice.」プロジェクトはこの本の刊行時期とぴったり重なっています。過去が僕たちを未来に連れていくんだ、とかヒンメルが言ってた気がする。ヒンメルならきっとそう言う。予約受付中

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花伝社 変えられた人生 南京大虐殺生存者の口述生活史

9784763422057

“歴史の争点になり続けるこの大量虐殺事件は、彼の地でどれほどの傷跡を、数多の人生に残し続けてきたのか。三〇名の生存者が語る、南京大虐殺の「本当の姿」”。これもまた「日記=過去・歴史のかたまり」のひとつだと思います。現実を真っ直ぐにまなざした先にしか未来はない……。

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花伝社 わたしを夢に見てください

9784763422071

“死後もなお恋人の夢に寄り添おうとする女性や、韓国で妊婦が見るとされる「胎夢」を描き、幻想の光をまといながら鮮やかに映し出される現代韓国の姿”。こちらは短編小説集ですが上の1冊とあわせて読むといいでしょう……同日刊行ですし。2026年は文芸の年にしたい、というのもあります。

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原書房 〈ガザ〉を生きる

9784562075867

“戦下のガザに住む若者59人によるエッセイ64篇と詩10篇、計74篇のアンソロジー。悲しみ、抵抗、愛、そして希望を巡る実体験を通じて、彼・彼女らの人間性を伝える本書は、今まさに世界が必要としている「肉声」なのだ”。これもまた同様に……。

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解放出版社 ともにいきるための「世界ルール」

9784759222890

“世界から差別をなくすためにつくられた「世界ルール」(=人種差別撤廃条約)を、子ども向けにわかりやすく解説した絵本”。本当はこういう本を「ブックサンタ」で送るのがいいんだろうけど(どうやったって「大人が読んでほしい本を押し付ける」という構造からは逃れられないのだし)、肝心の大人がこういう本を政治的すぎるとか言って嫌がるんだよな……これは!私たちみんながしあわせに生きるための!本だよ!(ブックサンタは今年もいちおう参加しています)

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平凡社 ヴァージニア・ウルフ エッセイ集

9784582770032

“「文学はだれの私有地でもありません。文学は共有地です。切り刻まれて国家に分割されていませんし、戦争はありません。自由に恐れずに侵入して、自分で自分なりの道を見つけましょう」”。“初期から晩年までウルフの思想をたどる、オリジナル・アンソロジー”で25編を収録。ウルフもあらためてちゃんと読みたい……やっぱりライスライフバカンスにならないとな……。

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里山社 ペンと剣

9784907497248

“西洋中心の価値観に異議を唱え、アカデミズムの枠を越えて政治に声を上げた人物像を浮かび上がらせる、サイードをこれから読む人にも最適な一冊”。長らく品切れだった単行本&文庫が里山社によって復刊、増補新版です。このまえ読んだイザベラ・ハンマード『見知らぬ人を認識する パレスチナと語りについて』(みすず書房)でもサイードには当然のように触れられていて、やっぱりちゃんと読まなきゃな……と思いました。中井亜佐子『エドワード・サイード ある批評家の残響』(書肆侃侃房)から入ってもいいかも。予約受付中

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KADOKAWA 「酔っぱらい」たちの日本近代

9784040825298

“近世まで、飲酒は非日常を体感する儀礼的な営みであり、祝宴では酔いつぶれることこそが「マナー」だった。工業化の過程で、都市に集まった人びとは翌日の労働のために飲酒を規制しはじめる。好んで夜の街に繰り出しながら、酔いを隠し、記憶喪失を恐れ、「ワリカン」でしめやかに終わる。こうした一見矛盾する飲み方は、どのような過程で都市民たちに内面化されていったのか。近代化の隙間で労働の日々を生きた日本人の秘史を、気鋭の社会学者が炙り出す”。新書。たぶん男性学の文脈を意識して読むと面白いはず……そういう読み方ができるものになっていてほしいという期待。

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岩波書店 パレスチナ実験場

9784000617352

“イスラエルは、占領下のパレスチナを兵器や監視技術の実験場として利用し、それらを各国に輸出して世界の紛争・弾圧に加担している”といった事実は知ってる人は知ってるけども、大半の人は知らないわけで、この本が書店に陳列されているだけでも意味=効果はある。

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青土社 被害者性の政治学

9784791777563

“#MeTooやBlack Lives Matter運動、COVID-19の問題が明らかにしたのは、もっとも脆弱な人々の声はたいてい聞き取られず、むしろ力を持った者たちの主張が重要となってしまうことだった。「被害者性」の公的な伝達にひそむ落とし穴を探し出し、本当に配慮を必要としている人々に配慮できるようになるための必読書”。大事な観点ですね。SNSの使い方も含めて、再考すべきだと思うので(「差別をなくす」という目的のはずが「自分がチヤホヤされたい」になってしまっているケースがSNSではよく見られますよね)。

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晶文社 おい点P、動くんじゃねえ!

9784794980298

“何のために学び、どこにつながるのか……知っていたら、もっと頑張れたはずだった。「そういうものだから」と言い聞かせられてきた、絶妙に納得できないテーマを厳選。算数・数学に不満たらたらのケンジと、数学好きの兄貴が、対話しながらひも解いていく”。タイトルですでに勝利を手にしている1冊(勝利とは?)。

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フィルムアート社 演出をさがして 映画の勉強会

9784845925001

“本書は、映画監督の濱口竜介と三宅唱、映画研究者の三浦哲哉という気心の知れた3人が集い、2018年より続けてきた映画の演出についての勉強会の「第1集」です。3人がそれぞれ手にした地図とアイテムを持ち寄り、共に旅に出る、映画の演出をめぐる冒険の書です”。丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』を読んだ人はこれも読みたくなるし、これを読みたいなと思った人は『迂闊〜』を読んでください!予約受付中

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竹書房 おふとんの外は危険

9784801947177

文庫。出版社ページがないので原著を紹介しているページのリンクをば……最高のタイトルだ。これだけで仕入れる理由になる。“スミンが起床すると「布団の外は危ない」と布団が言う。部屋中のモノもそれに平凡な言葉を継いだ。彼女は自ら病院に向かい入院するが、そこでもモノは会話しており、紙コップが彼女をリードしてくれる”。

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KADOKAWA 全員記憶喪失オフィス

9784047387249

『花四段といっしょ』『バクちゃん』の増村十七、新刊です。ちなみに『バクちゃん』はずっと品切れ重版未定だったんですが、どうも重版されるらしい……うれしすぎる。

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今週のお知らせコーナー

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①定期読書会&イベント関連のお知らせ

・12月28日(日)14時〜16時 高橋くん読書会

→今回の課題テーマは、年末恒例となった「今年のベスト」。なお、2023年のこの読書会後に丹渡さんが「来年はプルーストを読む」と迂闊に言い放ったところから『迂闊〜』は誕生しました。来年の抱負を迂闊に言うと、予想だにしない展開を生むのです。今年の迂闊は誰だ〜?特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。

・『物語とトラウマ』ゆる読書会はいったん終了。一度別のワークショップ的なものを挟んでから、別のテーマで読書会をスタート予定です。

②〈特別イベント関連〉

・〈出店予定〉2025年11月22日(土)西千葉で開催の「ふふふ文化祭」に出店します。本以外の出店やイベントも盛りだくさんの、けっこう大きなお祭です。2年前の第1回開催にも出店してました。詳細はこちらから。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈出店予定〉2025年11月23日(日)文学フリマ東京に出店します。詳細が公開されました。本屋lighthouseのブースは「ね-14 (南3-4ホール)」です。なんかすごいはじっこ。四隅。落ちつくね……。毎度恒例、そのひぐらし商会も同ブースで参加。あと藤岡みなみさんの個人レーベルnululuより刊行の本たち『ぼちぼち』『超個人的時間旅行』『超個人的時間紀行』も持っていきます。『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の丹渡さんもどこかのタイミングで遊びにくる予定。この日は幕張のお店はお休みです。

・〈店内イベント〉2025年11月24日(月・祝)13時〜15時にて、『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』『歴史修正ミュージアム』刊行記念イベント「アメリカの信仰・文化・歴史をめぐる闘争を考える」を開催します。登壇者は著者の加藤喜之さんと小森真樹さん、司会・進行に北村紗衣さんです。詳細と申込はこちらから

・〈店内イベント〉2025年11月29日(土)15時〜17時『まちは言葉でできている』(柏書房)刊行記念イベント「まちの記憶をひらく:共に語り、記録するという抵抗」を開催します。詳細と申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は東京〉2025年12月4日(木)19時〜21時にて、東京都菊川のナイスなビアバー&本屋のsabo beer bar & bookstoreを会場に、丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』イベント「プルーストはあくまで踏み台」を開催します。お話し相手はもちろん柿内正午。日記が好き/書いてみたい、小説や映画が好き、とにかくおしゃべりが好き、そういう人は来ると間違いなく気分よく帰れます。ノンアルコールもあるよ(私はお酒飲まないし!)詳細&申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は奈良〉2025年12月14日(日)、今年も奈良の「ほんの入り口」にてイベントやります。「関口と入り口2025ーーへロヘロたちの集い」今年は奈良マラソンを走ってからの開催。どういうこっちゃ?詳細と申込はこちらから

・〈トークイベント/会場は名古屋〉2025年12月16日(火)、奈良に続いて「TOUTEN BOOKSTORE」にてイベント開催。「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」。真面目に楽しく、楽しく真面目に、この世界を考える時間。詳細と申込はこちらから

・〈新規店内イベント〉2026年1月11日(日)終日、『贈り物の本』刊行記念イベント「贈り物を頂き、誠にすいません」を開催します。牟田さん&日野さんによるトークイベントと、ごーすと書房・十七時退勤社・暮ラシカルデザイン編集部のブース出店、という豪華な1日になります。詳細&トークイベント申込はこちらから

2026年1月11日(日)終日、『贈り物の本』刊行記念イベント「贈り物を頂き、誠にすいません」

2026年1月11日(日)終日、『贈り物の本』刊行記念イベント「贈り物を頂き、誠にすいません」

・〈店頭フェア開催中〉「わたしのみすず書房」フェア、やってます。フェア特別冊子「わたしのみすず書房」は単体購入300円税込、当店ではみすず書房の本を購入いただければ無料贈呈としています。ウェブストアにもフェアページを作りました。また、「これを機にみすず書房に挑戦だ!」という方がいらっしゃいましたら、店頭にない本も取り寄せ可能ですので気軽に連絡ください。

③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。現状iOSのみですが、Androidにも対応予定とのこと。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ

④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。

ブルースカイのアカウントを開設していました。mixi2も。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و

⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。

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出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。

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