クレオさんの「幸あれ!」――対面型選書サービス「クレオパトラブックス」のキセキ/クレオ

第2回:2回目にして禁断?のテーマ ないものねだりに決着を!「パートナーが欲しいのにできないんですけど問題&夫婦関係上手くいかないんですけど問題」(前編)
本屋lighthouse 2026.05.31
誰でも
クレオさんの「幸あれ!」――対面型選書サービス「クレオパトラブックス」のキセキ/クレオ

クレオさんの「幸あれ!」――対面型選書サービス「クレオパトラブックス」のキセキ/クレオ

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図書委員が大人になって毎日1〜3冊読む読書ヲタクが、不動産会社の役員になり、国際不動産組織の名古屋支部長をやりながら、お休みの日に選書サービス「クレオパトラブックス」をやっています。クレオパトラブックスで起きたお客様とのやりとり(社会の縮図的出来事)や、わしクレオの人生観など雑記的に綴ります。

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前回は自己紹介的なところを申し上げました。

今回から、クレオパトラブックスの中身に踏み込んでお話ししていきます。

人生のターニングポイントに立っていらっしゃる方が利用されることの多い、クレオパトラブックス。お悩みやご相談のテーマは多岐に渡ります。

結婚・離婚・死別・離別・就職・転職・リストラ・ハラスメント・事故・病気etc……(なんだか書いていて、これは選書家の仕事というよりか、メンタルクリニックが取り扱うような相談テーマだな、と思えてきたぞ?)

けれども上記のテーマにピッタリ当てはまりそうで、当てはまらない、いわゆる「得体の知れない、そこはかとない不安」というものが人間にはありまして、その一つに、タイトルにもあるような問題があると思っています。

まず、一つ目の「パートナーが欲しいのにできないんですけど問題」。(今回は文字数の都合上、この話題にスポットライトを当てます)

これは、カルテ(問診票)に書いていただくときには決して「パートナーが欲しいのにできない」とは記入されないのですが、ワシが「死ぬ前には、こういう光景が自分の人生にあって欲しかったな〜と思うことはあるかい?」だとか「ドラえもんが何でも叶えてくれるって言ったら、今すぐ、何を、叶えて欲しい?」と口頭で聞いて、ようやくおっしゃってくださることが多いのです。

それだけ、きっと、切実で、思考回路の迷路に迷いまくって、考えまくったからこそ、簡単に第三者にシェアできないテーマでもあるのだと、察します。

で、お客様の声を借りて、たくさんのお客様の総意としてまとめてみますと、

「自分の人生にこれといった不満があるわけでもないです。ですけど、恋愛がしたくない、って宣言しているわけでも態度に出しているわけでもないのに、自分にはずっとパートナーができなくて。言ったらアレですけど、なんで性格的に明らかに難がある、あの人にはパートナーができて、さらに結婚ができていて、まともに生きてる自分には(パートナーが)できないのが、おかしいなぁ〜って思うんです。なんで、こんなに、神様、不公平なことをするんですか?って思うくらい。極論、恋愛なんてこざかしくて面倒なのはいらないし、それなりに年も食ってきたので、いまさら恋愛するような体力もないし、お互いに何かあったときのパートナーっていうか。チームメイトみたいな人が隣にいてほしいなという。それだけが望みで。なんかあったら、助け合おうぜ!っていうような人が欲しいだけなんですけど。」

一応ここで、改めて言っておきます。

ワシは、対面型選書家です。(笑)

どういう顔をして聞いているかは、ご想像にお任せします。

お客様の代弁に戻ります。これもよく出てくる話です。

「結婚式の手紙が来るたびに、確かにあなたと私は、小学校の同級生だったかもしれないけれど、たいして、大人になったって遊んだ記憶もないのに、急に結婚式に出席してくれって、どういう思考回路持ってたらそんなことできるんだろう?って結構真剣に思うんですよね」

もう、明らかにお客様の表情が怒り顔です。

しかし、人間、一度開いた感情の箱はすぐには元に戻らないもの。お客様の中で蒸し返して、さらに怒りがエスカレート!

事件は現場でも起こっているかもしれんが、書店内でも起こってますけど!の、お客様とワシの両者がプチパニック状態。

さらに畳み掛けるように、お客様はおっしゃいます。

「女性の方が年収高いと、モテないよ、ってそんなの、おまえが明らかに私より稼げないのわかって、ひがんでるだけだろーがぁ!」「クリスマスは、本来あなたたちのためにある日じゃないですよ、って疎ましくて仕方がないんですよね」「手を繋いでいるカップルとか見ると、正直、殺してやりたいって思って、いわゆる殺意が芽生えるようになりまして」etc……

ワシもここまでくるともう、「あくまでもワシ個人が何か、おぬうさんたちにアドバイスを直接いうわけではなしに、これからの生き方の参考になるような言葉は本棚にある本の著者に答えさせますからね」と言っていた選書家としての顔はどこへやら、態度に出さないまでも、心の中では「わーーーかーーーるーーー!!」と叫ぶ、ギャルマインドがプリセットされて、ワシの心もいつの間にか荒れ模様。

なんでかって、ワシ自身がそうだからです。

先ほどのお客様の発言が、そのまま、今にもワシの口から出かねない。危ない。

ワシ自身、年季の入った悩みの一つが「自分の人生にこれといった不満もない、だが、自分にはずっとパートナーができない」であるからです。(ドヤっ!)

ワシ自身、クリスマスはみんなで祝うものダロォ! おめぇらの日じゃねぇわ! クリスマスの1日だけお金をパーっと使って経済回すくらいなら、ワシより稼いで、定期的に、これからも続いて欲しいお店やビジネスにお金を費やせよ!と思ってしまうわけです。冷静に考えたら、何もそこまで荒ぶらなくても!とか、いや、自信があるのが仕事だけだからって、稼ぎにモノを言わせてドヤ顔しなくてもいいのに!なんて自制心が働くのですが、どうも、このクリスマスに限っては、手を繋いで、ゆーっくりとした歩調で歩き、ついぞや道を塞いでいるのを見るに耐えられず、わしの中の「ブラッククレオ」が、すぐヌラァ!と顔を出してきます。

また、結婚式に参加して欲しいという趣旨の手紙をいただいた際には、「この人、ワシが不動産会社の代表取締役っていうのを知っとって、自分の結婚の式次第か席次表に載せたいと思って、ワシを呼んだだけやろ? 今までロクに連絡も交流もなかった奴が、なんでワシを呼ぶんかって、自分の結婚式に箔を付けたいだけやろがい!」とウラが見えてしまったばかりに、怒り心頭のまま、“ご欠席”の“ご”の字を二重線で打ち消すマナーもガン無視して、“ご欠席”という文字をまるごと大きく囲み、御住所・御名前の先頭の「御」の字も打ち消すことなく、名前だけ一行書いて、返信用ハガキを投函したことがあります。

言っても、このエピソード、一回だけでしょ〜!なんて、お思いになるかと思いますが、ワシは何度も何度も繰り返してきました。風呂キャンセル界隈ならぬ“結婚式キャンセル界隈”なるものがあるとするならば、自分はその走りではないかと思うほどです。

自分のエピソードに戻りますが、「おまえの結婚を喜ばないヤツがここにいますよ」という、自分としては最大限の皮肉を込めたハガキ。“ご欠席”に大きく丸をつけたハガキを投函するたびに、“シンプルに祝福したっていいのに、そうできない”最低な人間であることを自覚して、どんどん嫌なヤツになっていく。こういう時は大抵、ZAZEN BOYS(向井秀徳)の「You Make Me Feel So Bad」が脳内でかかり続けています。でも、人生に一回だからって参加してやる義務はないのです。

相手も人生一回ならば、こちらも人生一回きり。

あくまでも心から応援したいと思ったり、推せる!と思える人たちに自分の時間を使っていきたい!という意志が年々強くなっているため、このスタンスは変えないようにしようと思っています。

ですので、もうこれ以上、ワシとそんなに関係値がない人から、結婚式の案内が届くことがありませんように!と願ってやみません(笑)。(現在進行形で祈っちゃう)

もとい、ワシ自身がそんな調子なので、この、由々しき「なぜパートナーができないんだ問題」は、こちらとしても非常に身につまされるような想い。

イチ選書家でありたかったのに、黙ってはいられない。けれど、ワシから何か差し出せるアドバイスもなければ、何か共感を示した時点で、お客様からすると「ワシからアドバイスは出さんと、この本棚の中の著者にいい解決策ありませんかって、答えさせますからね」ってクレオさん言ってたのに、どうした?と、前提がなくなり、言葉が一気に嘘に変わる。

なので、この話題や相談事をお伺いする度に、心苦しいんです。

自分も「これだ!」というアドバイスを欲している一人だから。

「ワシにも、誰か!教えてくれよ! どうやったら、パートナーが自分にできるんだよ!」というのが本音だからなのです。(CPBで恋愛がらみの話題をしてくれるなよ!ということではないですよ、誤解なきように。相談事はあくまでもお客様自身のものですから、自由に余すことなく発言してくださいね。)

そして、鏡が自分の目の前にないけれども、なんとなしにわかるのは、きっとワシは苦虫を噛み潰したような顔で、お客様の話を聞いているのだろうな、ということ。

それでも、ワシにできることは、本棚の中に佇んでいる本の著者たちをアドバイザーとして、その場に召喚してご提案することなので、毎度真摯に向き合ってココロの処方箋をお出ししているわけです。一言に恋愛・結婚といっても、お客様それぞれに性格もライフスタイルも恋愛対象や考えも違うわけですから、それはそれは必死に、そして丁寧に選書します。

1年間で60名以上ものお客様に向き合うこともあり、60名を1年の平均値とすると5年間やってきましたので、ざっと300名。

その中でパートナー問題をご相談された方は約半数(クレオ体感調べ)。

しかし、あるときにふと気がついたんです。

正確にはお客様が教えてくださったのですが、

人間、急に呪縛から解き放たれる瞬間があることに気がついたんです。

以前こんなことがありました。

あれだけ「なんで自分にパートナーができないんだ?!」と頭を抱え続けたお客様が、1年後ふとCPBに戻っていらして、「クレオさん、ご無沙汰をしております」という言葉のあとに満面の笑みで「私、先日入籍しました。後日の報告ではありますが、クレオさんにどうしてもご報告したくて」と言われ、こちらがひっくり返ったことがあります。

「笑う門には福来る」という、ことわざの効果効能と言いましょうか、どうやら“本当”のようで、確か、そのお客様には、「思い詰めるより、いっそ、恋愛や結婚の話題を全て忘れて、自分の頭を空っぽにするかのごとく遥か彼方に追いやって、腹抱えて笑えるような自分を今こそ取り戻すってのは、いかがでしょう?」と、全然違う角度のご提案をして、その上で、非日常的なエピソードがふんだんに盛り込まれたエッセイや、クスッと笑える写真集、最初の1ページから「なんじゃこりゃ?!」と腹を抱えて笑ってしまうような短歌、をたくさんご紹介して、その全てをご購入いただいたわけですが、後日のインスタDMで「クレオパトラブックスにてご紹介いただいた本を全部購入し、少しずつ読み進めるはずが、面白くて、気がついたらページをめくる手が止まらず、気づくと1日1冊読み切れて、(選書いただいた)10冊、終わりました!」とのこと。

1ヶ月に1冊読めたらいいほう、なんて、最初にカウンセリングでおっしゃっていた方が、10日間連続読書。そして、10日間で10冊読破。

嬉しいのなんの! 選書家冥利に尽きます! ありがとう! すごいすごい! と画面のこちら側のワシは喜んでいたのですが、DMの最後にて、「自分に元気が戻ってきたことが、(参加したことでの)一番の収穫でした!」というなんとも嬉しい一言で締めくくられており、「あぁ、もうこの方は、心配することないワイね、大丈夫。絶対大丈夫。」と思ったことを思い出したのでした。

そう、「パートナーできないんですけど問題」の呪縛を解くカギは、このお客様においては「笑い」だったようなのです。

お客様は皆様、最初こそ緊張の面持ちであっても、ふと、ニコッと笑った顔が素敵で、その都度キュンとするワシがいるわけですが、このお客様の場合、CPBに来るときにはご本人が持つ本来の輝きがついえてしまっていて、とうとう笑う気力もなくなっていた。正直、ワシとしても恋愛がどうこう、という話よりか、今ここで元気を取り戻して頂かないと、目の前のお客様の明日が心配!と思ってしまうような雰囲気を持っていらしてました。

しかしながら、後日のDMで言われたように、たった一人でもゲラゲラ笑ってみて、元気を取り戻しているうちに、きっとその姿や笑顔に惹かれる方がいらしたのか、なんにせよ「笑顔」がカギとなってお客様の人生が突如好転したようなのです。

聞いてびっくりの、「出会って半年で入籍」のスピード婚だったそうです。

ワシもそれを聞いて、「1年前に何をそこまで深刻に悩んでいたか、その詳細を今、思い出せるか。って言われたら、思い出せんし、なんとなく辛かった、とかいう“感覚”しか思い出せないから、だったら、その仮説?を逆手にとって、“感覚”しか思い出せないのなら、2026年はなんとなくだったけど楽しかったな〜という“感覚”を1年後の自分に残してやりたいな」と思ったのです。

というのか、お客様から教えていただきました。

実際に現在、ワシは恋愛結婚に限らず、色々と思い詰めそうになるわけですが、お客様からの教え通り、とりあえず笑えるくらいの元気は常に備えている自分でありたい!と思うわけです。

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〜今回のココロの処方箋〜

特にお客様が笑った!という1冊。気に入っていただけて、ワシも嬉しい。短歌としてはエンタメ性がかなり強くて、自分自身好きだからです。

タイトルからして出オチ感が否めないのですが、この本のタイトルが後編ではまさかの波乱を連れてきます。

後編かつ第3回目の「夫婦関係上手くいかないんですけど問題」をお楽しみに!(?)

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*後半に登場するお客様には記事掲載の許可を得ています

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クレオ

表現者・日本で唯一の対面型選書家「クレオパトラブックス」主宰・不動産会社役員

国際不動産組織会員等肩書きが多すぎて減らしにかかりたい。毎日紙の本を触らないとストレスで息が上がってくる。ドアラとつば九郎との掛け合いが私的平和の象徴。バイリンガルですが、日本語だと主語は「わし」、岡山弁とも広島弁とも名古屋弁ともいかないクレオ語でみなさまにはお話ししています。

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*こちらの連載は「web灯台より」にて読むことも可能です。

*最新号は誰でも閲覧可能、過去号はこのニュースレターを有料購読している場合のみ閲覧できます。

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