忘れていくものの記録251126〜1207

読書日記
本屋lighthouse 2025.12.07
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11月26日(水)

 朝、ふとんのなかでプルーストを少し読む。さむい。

 日記フェアの棚をつくり、新刊チェックをし、日記本の組版を開始して、閉店。お客さんから妊娠報告をうける。「移民3世ですよ」と一見軽いトーンで言っていたが、内側にはなんらかの覚悟があるのだろう。かれら親子が遊びに来れる本屋であること、という目標が増えた。

11月27日(木)

 12月スタートの日記フェアを見ていく人がちらほらいてうれしい。Tさんが早速フライングで書き込んでくれる。しょうもないことを書いていてとてもよい。なにかもう少しあった気がするけど、ここから週明けまで怒涛で日記を書けなかったので覚えていない。Tさんとのしょうもないやり取りだけが記憶に残っている。

11月28日(金)

 志津でカレーを食べるため19時までの短縮営業に急遽変更。6年ぶりくらいに北田さんと会う。我々の信念はお互いに違う方向を向いていて、だからこそこの数年は同じ場所にいることがなかったわけだけど、それは「敵」ということではない。登山のルートが違う、あるいは登っている山自体が違うだけのこと。

北城路で働く人びとはよく「ここに来ればすべての問題を同時に解決できる」と言って北城路を自慢するが、リノベーションに関連する具体的な作業を実際に進めるにあたって、しばしば周囲の工具商人や町工場の技術者たちの助けを借りる人は多い。「このようなことがしたいのだが」と相談すると、北城路で働く人びとは「それだったら、あそこに行って相談してみろ」「それだったら、こうすればよい」と、次々に解決方法を教えてくれる。もちろん、彼らがリノベーションそのものを肯定的に捉えているわけではないし、北城路にやってきてカフェなどを始める人や、北城路で作品を展示しようとする芸術家に対して理解を示しているわけでもない。(中略)。今も、北城路で働く人びとには「ここに来れば、すべての問題を同時に解決できる」という自負がある。だからこそ、リノベーションを契機として入ってきた人が困って相談に来ると、「なんでこんなことをするのか、まったくわからない」と言いながらも、その問題を解決するためには何が必要で、その必要なものを買うにはどの店に行けばよいのか、必要なものを作るにはどの町工場に行けばいいのか、といった問題の解決方法を教えてくれるのである。松井理恵『大邱の敵産家屋』(共和国)p.157-158

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