新刊チェック(25/12/21-27)&お知らせ
明日4日は東京都・菊川のナイスな本屋&ビアバーのsabo beer bar & bookstoreで、『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』イベント「プルーストはあくまで踏み台」を開催します。時間は19時〜21時。幕張のお店は12時〜16時までの変則営業です。
ナイスな社交になること間違いなしのイベントです。私もお酒は飲みませんし、ビアバーだけどアルコール度数0%で楽しめる空間になっています。日記を書くことやプルーストを読むことに興味がある人はもちろん、そんな世界があることも知らんかったぜ!な人も楽しめます。それが社交の場だからね!(コミュニケーション度数0%でも社交だよ!無理に話しかけないし、話を聞いているだけでも無問題!)
新刊チェック(25/12/21-27に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます
地平社 入門 資本主義
9784911256381
“本主義とは、そもそもどんな社会なのか? 「会社と仕事」「就職活動」といった身近な問題から、「格差と競争」「経済政策」といった大きな問題まで、「常識」を問い直す批判的な目で解説していく。目から鱗の経済入門”。資本主義の中で生きざるを得ないのは事実だけど、だからといってそこから逸脱することを諦めなくてはいけないわけではない。私が「儲からなくていい」と言うとき、それは「清貧」の思想ではなく「資本主義以外のあり方を目論む」ための宣言です。ということで、本書はきっと役に立つ。
花伝社 クィアな時間と場所で
9784763422064
“「過去/現在/未来」「都会/地方」「大人/若者」――時間性と地理におけるこうした分析枠組み、あるいはそれを前提にしたヘゲモニックな「時間-空間」モデルを、クィア、トランスジェンダーの身体・欲望・実践から読み換え、新たな「時間性モデル」を構築した、クィアスタディーズの到達点”。難しそうだけど読みたい……読みこなしたい……『失敗のクィアアート』も再発注しておきます。
日本キリスト教団出版局 キリスト教シオニズムとは何か
9784818412255
“パレスチナでどれほどの人が殺されようと、現在のイスラエル国を支持するキリスト者が多くいる。その思想的根拠がキリスト教シオニズムだ。本書はキリスト教シオニズムの誕生にプロテスタンティズムが深く関わっており、多くのキリスト者が無意識のうちにキリスト教シオニズム的な思考に陥ってしまうメカニズムを明らかにする”。先日お店でイベントも開催した『福音派』とセットで読みたい1冊ですね。大事なのは「だから宗教はダメなんだ」と宗教や信仰そのものを否定しないこと。これがいちばんダメなやつです。
青土社 脱走論
9784791777518
“経済成長の神話を支え暴力を生み出しつづける、あらゆる行為を放棄すること。ここにこそ荒廃する時代を生き延びる唯一の道がある。世界を覆う「うつ状態」を資本主義社会に対する抵抗として積極的に捉え返した、退行の時代のための新たなマニフェスト”。待ってましたの1冊ではなかろうか。
偕成社 わたしが戦場にいる
9784037220204
“若い世代に向けた戦争と文学、戦争と人間をテーマにつづられるエッセイ。いわゆる読書ガイドのようなおすすめ本の紹介ではなく、文学作品の中で戦争はどのように描かれているかという点にフォーカスして、読者に「戦場へ行くことになったらどうなるのか? どうするのか?」を問いかける”。SNS的な場所での迅速かつ直接的な伝達と教育がうまくいかない(=アルゴリズムとアテンションエコノミー優位の世界では露悪的なものが勝ってしまう)のであれば、迂遠な方法でやっていく道筋を増やしたほうがいい、と最近は考えています。だから文学・文芸をやっていく。日記もそう。本書もその系譜にあると思います。
幻戯書房 虹の女神が涙したとき
9784864883382
“太平洋戦争時、日本軍の侵攻に抵抗するフィリピンの住民たちが自由のために戦う中、一人の少女が神話的想像力によってエンパワメントを歌い求める――フィリピン系アメリカ人女性作家ブレイナードの半自伝的なマジックリアリズム小説にして歴史証言の文学”。これも同様に「迂遠な」方法。
白水社 兵士の帰還
9784560072677
“戦場で記憶を失った男をめぐる三人の女性の心理劇。ケアの視点からも再評価される英国モダニズム小説”。白水Uブックス。ウルフの『ダロウェイ夫人』も戦時中のPTSDがテーマだったりするわけですが、この手の文学作品はもっと広く読まれるべきですね。戦争=原爆とか特攻隊などのイメージが強すぎて、つまり壮大な事件すぎて自分事にできていないのかもしれないので。コロナ後遺症みたいに日常の延長線上にあるんですよね、戦争被害は。
河出書房新社 中世ヨーロッパの魔術師
9784309231747
“中世ヨーロッパでは魔術も魔術師は日常の一部であり、王も騎士も聖職者までがそれに頼っていた。魔術を通して当時の人々のリアルな生活と感情を描き、魔術のイメージがくつがえす一冊”。本書はぜひ『魔女狩りのヨーロッパ史』とあわせて読んでもらいたいですね。
青弓社 住む権利とマイノリティ
9784787235664
“本書は、DV被害者や外国籍者ほかマイノリティに焦点を当て、住まいをめぐる現況と課題を詳述する。さらに、ホームレス支援に取り組むNPOと、住まい探しの状況改善に取り組む企業が、それぞれの視点から改善策を提示する。最も身近な「住まい」の問題を多角的に捉え、住まいの権利をマイノリティの視点から照射する”。大事な本ですね。書誌情報の冒頭にもあるけど、“都市部でのマンション価格や家賃の高騰”が外国勢力のせいみたいにされてしまっている現状があり、それはひとえに報道の力量不足だと思うんだけども、報道現場の体力もなくなっているのも現実としてあるはずなので、そうなるともう市民運動で周知していくほかないんですよね……(だからSNSで!と言いたくなるけど、いったん迂遠な方法でやってみてほしいわけです、今日の話の流れだと)。
柏書房 「手に負えない」を編みなおす
9784760156504
“十年近く前に「地下鉄の漏水対策」に心を奪われ、極私的なフィールドワークを続けてきた著者。その過程で気づいたのは、人が手当てをすることで維持されている「手に負えない」ものに、なぜか心惹かれてしまう自身の性質だった”。友田とん、待望の新刊は地下鉄の漏水対策……から「手に負えない」物事への関心へとつながっていく1冊になりました。ゲラで読みましたが面白かった……友田さんの過去作、そして文フリで出してた『今を生きるための赤瀬川原平=尾辻克彦』と『試行錯誤7』に掲載の“肩こりが治る小説”についての1作目、にもつながる本書……サイン本にて予約受付中です。なお、バリューブックス運営の「本チャンネル」でもインタビューします。明日収録だ〜。
青土社 「キャンセル・カルチャー」パニック
9784791777570
“アメリカ保守主義による「ポリコレ批判」に端を発しながら、急速に世界中に広まった「キャンセル・カルチャー」という言葉。本書は、キャンセル・カルチャーという現象が存在することを所与のものとして受け入れるのではなく、その概念がどのような言説空間で生まれ、拡散されていったのかをつぶさに分析する。マジックワードと化したこの言葉を、圧倒的な言説調査によって掘り下げる、待たれた労作”。昨今のSNSを象徴するキーワードですね。やはりこれも迂遠に検討していきたい。ということで、訳者の藤崎さん登壇のイベントを企画中です。
白水社 異邦人
9784560090985
“聾者の母に捧げられた、「ある家族の会話」の軌跡。米・伊・英と移住する異才による、従来の「移民文学」とは一線を画す長篇”。訳者は以前当店にてイベントも開催した栗原俊秀さん。イベントアーカイブはこちら。
年末なので刊行点数も多めでした。代わりに来週チェックする分はほぼ新刊がありません!
今週のお知らせコーナー
年末年始のお知らせ
年末は28日(日)まで営業します。
年始は1月1日(木)から営業!そのまま4日(日)まで12時〜19時でお店をあけて、5日(月)〜8日(木)でお休みします。9日(金)から通常営業です。
なお、1日はスナック社会科新年会「ぎじっか」を開催。おでんを食べたり映画を見たり昼寝をしたりします。それだけ。詳細はまた後日。
①定期読書会&イベント関連のお知らせ
・12月28日(日)14時〜16時 高橋くん読書会
→今回の課題テーマは、年末恒例となった「今年のベスト」。なお、2023年のこの読書会後に丹渡さんが「来年はプルーストを読む」と迂闊に言い放ったところから『迂闊〜』は誕生しました。来年の抱負を迂闊に言うと、予想だにしない展開を生むのです。今年の迂闊は誰だ〜?特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。
②〈特別イベント関連〉
・〈トークイベント/会場は東京〉2025年12月4日(木)19時〜21時にて、東京都菊川のナイスなビアバー&本屋のsabo beer bar & bookstoreを会場に、丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』イベント「プルーストはあくまで踏み台」を開催します。お話し相手はもちろん柿内正午。日記が好き/書いてみたい、小説や映画が好き、とにかくおしゃべりが好き、そういう人は来ると間違いなく気分よく帰れます。ノンアルコールもあるよ(私はお酒飲まないし!)詳細&申込はこちらから。
・〈トークイベント/会場は奈良〉2025年12月14日(日)、今年も奈良の「ほんの入り口」にてイベントやります。「関口と入り口2025ーーへロヘロたちの集い」今年は奈良マラソンを走ってからの開催。どういうこっちゃ?詳細と申込はこちらから。
・〈トークイベント/会場は名古屋〉2025年12月16日(火)、奈良に続いて「TOUTEN BOOKSTORE」にてイベント開催。「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」。真面目に楽しく、楽しく真面目に、この世界を考える時間。詳細と申込はこちらから。
・〈店内イベント〉2026年1月11日(日)終日、『贈り物の本』刊行記念イベント「贈り物を頂き、誠にすいません」を開催します。牟田さん&日野さんによるトークイベントと、ごーすと書房・十七時退勤社・暮ラシカルデザイン編集部のブース出店、という豪華な1日になります。詳細&トークイベント申込はこちらから。
・〈店頭フェア開催中・年末まで〉「わたしのみすず書房」フェア、やってます。フェア特別冊子「わたしのみすず書房」は単体購入300円税込、当店ではみすず書房の本を購入いただければ無料贈呈としています。ウェブストアにもフェアページを作りました。また、「これを機にみすず書房に挑戦だ!」という方がいらっしゃいましたら、店頭にない本も取り寄せ可能ですので気軽に連絡ください。
・〈店頭フェア開催中〉「Write down your voice.」という日記プロジェクトを始めます。この世界を生き抜くための日記。そしてこの世界を変えるための日記。それを私たちの「声」で作っていくプロジェクト。店頭に設置した共有の日記帳に「あなたの日記」を書き込んでいく試み。12月1日から開始します。詳細はこちら。
③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。現状iOSのみですが、Androidにも対応予定とのこと。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ
④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです。旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。
⑤ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。
出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。
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