新刊チェック(26/07/12-18)&お知らせ

戦争、始めちゃったらもうみんな負けだよね
本屋lighthouse 2026.06.25
誰でも

この1週間くらい、ほとんど仕事と呼ばれるようなものを放棄して読んでいたのが『戦争×書物』(アンドルー・ペティグリー/柏書房)でした。550ページくらいあるので大変でしたが、いま読んでよかった本のひとつになりました(元気がないので本を読むことしかできない……あるいは読めてるからまだ元気とも言える……)。

戦時中に本が果たした役割は、たとえば『戦地の図書館』で書かれているようなこと、つまり「本が戦場でも必要とされた」事例をある種のハートフルさ=本はやっぱり大切なのだというようなメッセージとともに読者に印象付けるものとして、私たちは理解している節があります(少なくとも「本が好き」な自負がある人は)。しかし実際には、少し考えれば当然なのですが、本は「罪」や「害悪」を生み出すものでもあるわけです。そのことも『戦争×書物』はちゃんと書いている。

戦争が起きている、あるいは準備されている、さらには終わったあとにおいて、本がどのように扱われてきたかを知ることから見えてくるのは、「本は大切だね」「本をもっと読もう」というようなエモさでコーティングされた感想だけではなく、戦争が起きてしまったらそこには勝ち負けなどなく、関わった全員が不幸になるという紛れもない事実でもある。戦時中でも確かに本は読まれた。むしろたくさん売れたものもある。本が希望となってもいた。しかし、戦争が起きなければそんな希望は生まれなくて済んだ。

日記からは、自宅の玄関先まで迫り、あるいは屋根を突き破って入り込んでくる戦争に個々人がどう反応したのかがわかる。多くの人々は、防空壕で過ごす夜や急な避難に備えて階段の横に置いてある非常用袋のなかに、数冊の本をしのばせていた。ところが、あらゆる証拠は、ロンドン大空襲中に読書量が急激に減ったことを示している。爆撃が最も激化した時期には、完全に読書をやめた者もいた。あまりにも精神的なショックが大きく、あまりにも忙しすぎて、あるいは単に、彼らは張りつめた不安のなかでの待機や中断される睡眠、防空壕での不快な夜に疲れ果ててしまったのだ。(p.424-425)

核を保有する大国どうしが、相互確証破壊の確実性を認識しながら、敢えて戦争に踏み切ることなどありえない。また、サイバー戦争や精密誘導兵器といった戦争技術の進歩によって、民間人への被害は最小限に抑えられるはずだと。しかしこれもまた甘い読みであり、実際に起きた二一世紀の戦争は、正規軍の兵士よりも民間人のほうにはるかに大きな犠牲を生んでいるように見える。(p.537-538)

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新刊チェック(26/07/12-18に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます

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現代書館 死のワルツ ナチス帝国最後の夏

9784768459942

“日記、目撃証言、自己告白、噂話、新聞記事、専門文献、大衆文学……。膨大な断片的記録を縫い合わせ、ドイツ国防軍兵士、アメリカ兵、従軍記者、そして市民たちの視点から、「死のワルツ」と化したヨーロッパの実像が立ち上がる”。『戦争×書物』でも日記が果たした役割は大きかったことが書かれていましたね。どうも第二次大戦は「ナチス(ファシズム)」と「連合国軍(民主主義)」の戦い、後者が正義、といったイメージで捉えられているところがあるように思えますが、実態を見てみると後者も相当酷いことをたくさんしていて、もちろんそれでナチス(そして日本)の罪が軽くなるわけではないのだけど、悪と正義の戦いという構図になってしまっているのはよろしくないな、と思いました。戦争になった時点でどっちも悪。「戦争反対」に批判的な人の中には、このように連合国軍的な意識でもって戦争を見ている場合もあるのかもしれません。絶対的な悪を倒すための戦争がある、だから戦争反対とは言い切れない、という感じでしょうか。その「絶対的な悪」の対象が隣国になっている場合は当然、軍備拡張は最優先課題になるのでしょう。絶滅させるべき相手なのだから。しかし戦争になってしまったら、その絶対的な悪のトップにいる指導者たちよりも先にたくさんの民間人が死んでいく。私はその状況自体が「悪」だと思うし、同じように思う人たちが戦争反対と言っているのだと考えているのだけども、戦争によって絶対悪なるものを打ち破れるという幻想を抱いている人にその「現実」は見えてこない。そしてそのような現実が、本書には書かれているような気がします。

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皓星社 石とザアタルの地 パレスチナ文学アンソロジー

9784774408873

“不条理に故郷を奪われ、権利や尊厳をどれだけ踏みにじられようとも、文学という最も人間的な創造行為をあきらめないパレスチナ人作家たちの存在は、それ自体が希望である。(編者解説より)”。この文章をどう読むか、どう受け取るかが大事だと思います。エモコーティングされた感想を抱いて終わりにしてしまうのか、現実を見つめるための支えとするのか。希望という言葉が軽くなってしまうのを防ぐのは、その言葉を受け取った者の行動次第。

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書肆侃侃房 旅食中毒記

9784863857360

“訪れた土地で恋した料理、その背景に流れる人々との記憶をたどる旅食エッセイ”ということで、旅食で区切りですね。でもプロフィール見るとおなか弱いとも書いてあるから、食中毒ではないにせよおなかくだし記ではあるのかもしれない。

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今週のお知らせコーナー

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①定期読書会&イベント関連のお知らせ

・6月27日(土)14時〜16時 高橋くん読書会

・『物語とトラウマ』ゆる読書会はいったん終了。また別のテーマで読書会をスタート予定です。

②〈特別イベント関連〉

・〈映画上映会〉6月28日(日)全3回で、映画『医の倫理と戦争』の上映会を開催します。会場は店内奥の部屋。会費は無料です。各回5名で3回やります。詳細と申込はこちらにて。

・〈店内ブックフェス〉2026年7月4日(土)13時~18時にて、ごーすと書房出店祭「本と避暑地」@本屋lighthouseを開催します。定期的に出店してくれているごーすと書房による単独企画です。だらだら過ごしたい人はぜひ来てください。詳細はこちら

・〈店内イベント〉2026年7月5日(日)14時~19時 刷る刷るクラブ(主催:FROM THE HELL MAGAZINE/ayano)を開催します。シルクスクリーンでええ感じのデザインを印刷しようぜ〜、というイベント。予約は不要、参加費と印刷したいもの(Tシャツとかトートバッグとか)を持ってきてください。あと世界平和の気持ちね。詳細はこちらから。

・〈出店イベント〉2026年7月11日(土)12時〜18時 市川ブックフェスティバル@シャポー市川むすぶば、に出店します。詳細はこちらから。幕張のお店はお休みです。

・〈店頭フェア開催中〉「Write down your voice.」という日記プロジェクトを始めました。この世界を生き抜くための日記。そしてこの世界を変えるための日記。それを私たちの「声」で作っていくプロジェクト。店頭に設置した共有の日記帳に「あなたの日記」を書き込んでいく試み。気軽にそして真剣に、ご参加ください。詳細はこちら

③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ

④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。

ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و

⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。

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出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。

この新刊チェックは無料にて配信していますが、投げ銭はいつでも大歓迎でございます(50円以上から設定可能ですので、気前が大変よろしいときなどにこちらからお願いします)。

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最近始めた思いつき連載、初回はこちらです。

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