新刊チェック(26/10/11-17)&お知らせ

目的と手段
本屋lighthouse 2026.09.24
誰でも

先週末のときわ書房志津店でのブックフェス、大盛況で終わったようでなにより……。本屋lighthouseも19日のみ参加し、いろいろな人とおしゃべりをしてきました。チェーン店らしからぬお店づくりだったりコミュニケーションだったりをしてきたことが、時間差で返ってきたというか、返してもらった、そういう時間になっていた気がします。具体的な話はまた今度。あるいは永遠に秘密。

しかし雨の被害が大変です。幕張は平和なんですが、印旛沼の近くだったり内房外房だったりは甚大という言葉を使うべきな被害状況。怖いのは、電車に乗れば1時間程度で着けてしまう距離感にある幕張にいても、その様子が伝わってこないということでしょうか。お前が情報を意識的に拾いにいかないからだ、という指摘はもちろん正しいのですが、なんの気なしに新聞やテレビを眺めていれば十分に情報が入ってきていた時代のことを思うと、SNSが発展し「通常のインフラ」になったことによってむしろ情報が希薄になり、情報を共有できない私たちは断片化していく、そういう感覚を覚えます。情報を意識的に拾いにいかないと生きていけない社会、たぶんそれはディストピアです。生きるのに必要な情報は、労せずして入手できなくてはならないはず。SNSが民主的であるというのは、あくまでも「そのように使う」から実現&維持できるものであって、本質的なもの(=なにもしなくてもいいもの)ではない。

昨日お店を休みにして訪れたのは、渋谷の松涛美術館で開催中の〈路上、お邪魔ですか?〉展。

路上という“所有や統治の枠組みが曖昧で、ときに制度へのレジスタンス”ともなる場所の使い方を考えたくて見に行きましたが、その具体的な方法が見つかったというより(すでにぼんやりとイメージがあったということもあり)、「なにをやるか」よりも「どのような意識でやるか」のほうが基礎にあるべきだ、というような感覚でした。たとえば「路上観察学会」の活動が「ウケること」を狙いにいくものにならないように気をつけていた、というエピソード。路上を歩いていて見つけた面白いものを収集&披露する活動であるからこそ、「ウケそう」を目的にしないということ。豊かな世界を作りたいのであって、政治家や支持者を馬鹿にすることは目的ではない。差別のない世界を作りたいのであって、ヘイトを撒き散らす人をぶん殴ることは目的ではない。こういった観点とも繋がってくる気がします。なぜSNSを使うのか、つまり「どのような意識で」使うのか。

*展示の図録『[特大号]路上、お邪魔ですか?』購入可能です。

***

これからしばらくの臨時休業情報です。現時点でわかっているのは、

10月3日(土)→ときわ書房志津店でのトークイベントお手伝い(午前中9時〜12時で営業するかも)

10月17日(土)→母校の大学で開かれる英文学会に出席&講演するため終日お休み

10月25日(日)→ときわ書房志津店の閉店日(15時くらいまで営業するかも)

(こっそりのお話ですが、先月から志津(そしてポルベニールブックストア)の閉店という高波により、幕張の灯台は(船と一緒に)暗礁に乗り上げております。距離的&客層的に近いお店が閉店すると連鎖的にほかのお店がピンチになる。これは結構深刻な問題なんですが、解決策は「どこも閉店しないようにする」つまり「社会状況をよくする」以外にないのであります。ふんぬぉぉぉぉぉおおおお)(さらに千葉豪雨なので……お店は無事でも「お客さん」は無事ではない……)

***

新刊チェック(26/10/11-17に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます

***

原書房 タイ 生活と文化

9784562077175

“観光だけでは見えてこないタイ人の考え方と暮らしを知り、この国をもっと深く理解するための一冊”。何度もタイには行っている、だからこそちゃんと知りたいな……と思いつつ先延ばしにしていたので、これはきっと天啓。まず私が読みます。

***

書肆侃侃房 地中海文学への招待 16の都市をめぐる物語

9784863857353

“ヨーロッパ、アフリカ、アジアに囲まれる地中海は、文明の交差点として多彩な文化を育んできた一方、絶えず揺らぎや緊張を内包してきた。11名の気鋭の文学研究者が地中海地域の都市とその街を描いた文学作品を紹介していく日本初の地中海文学入門”。これは非常に気になる1冊。そもそも「地中海」という枠組みで文学を見たことがなかった……(おそらくこれは厳しい見方をすれば反省すべきこと)。エッセイで綴る、というのもハードルを下げる試みとしていいですね。

***

東京創元社 アパートメント暮らしの動物寓話集 その他の物語

9784488014728

いま『イングランド田園風景の文化史』(岩波書店)という指導教授の本を読んでいて、都市と田園という二項対立的な構図に関連することが気になる季節になっているのですが、そもそも動物を「(ペットとして)飼う」ことでなんらかの安らぎを得るという行為は都市的なもので、田園地域であれば動物は「そこらにいる」ものなんだよな〜、とか思いました。という話はさておき、とても気になる作品集。

***

東洋館出版社 ケアと救済のセーフスポーツ

9784491054506

“ヒューマン・ライツ・ウォッチによる報告書「数えきれないほど叩かれて」日本のスポーツにおける子どもの虐待を軸に、スポーツにおける人権侵害の「現在地」を示す一冊”。スポーツ=体育会系というだけで目の敵にしてしまう、その原因をどうにかしようとしている取り組みの紹介でもある1冊。私はスポーツが好きで、かつそのダメな部分の被害者でもあるわけですが、こうしてその被害を「文章にして他者に伝える」ことができることもまたひとつの特権的環境で、それができない人が受けた被害は誰にも知られないまま。これはなにもスポーツの現場に限らず、「勉強ができないこと」を理由に「数えきれないほど(有形無形問わず)叩かれて」きた人はたくさんいて、しかしかれらは自分の状況をうまく文章にすることができないからSNSなどでは話ができない、そういう可能性のことも考えるべきです。つまり能力主義やマッチョイズムの被害者はどこにでもいるということ。SNSが「頭がいい人」にとって有利な環境であることは忘れずにいたほうがいいです。

***

柏書房 UNBROKEN 不屈の魂

9784760156801

“人種差別と性差別に支えられた入植植民地主義(セトラー・コロニアリズム)の本質を理解し、脱植民地化された未来へ向かうためのノンフィクション”。予約受付中。訳者・村上さんが翻訳している『私たちの進む道 植民地主義の陰と先住民族のトラウマを乗り越えるために』(青土社)もあわせて読むと解像度がより上がるでしょう。

***

河出書房新社 親切な福姫さん

9784309619118

“私は虫一匹殺せない優しい女だ――。誇り高き怒れる獣のような文体で市井の人々を描いた、韓国文学最大の遺産。戦後韓国の巨匠たちの作品を、斎藤真理子が精選・全訳するシリーズ、ついに創刊”。ということで、世界各地で複数人存在説が語られている斎藤真理子による翻訳シリーズの1巻目が出ます。このシリーズは全5巻で、全巻予約購入者には、斎藤真理子書き下ろしエッセイ集『斎藤真理子=個人編集 韓国文学クラシックス 別巻』(非売品)がつきますが、5巻目は2028年1月に刊行予定で、かつこの特典は3巻目の刊行時(2027年4月)についてくる、といういまいちよくわからない仕組みになっておりまして、本屋としては「どう予約を取ればいいのだ!?」と混乱している次第ではあるんですが、とりあえず当店では今年の12月19日までを予約期間として設定することにしました。詳しくはこちらのページを確認、しかし予約自体はbooks.lighthouse@gmail.comまでお願いします。まあ、特典なんてものに惑わされなくても作品自体が楽しめればそれでいいのですが。

***

講談社 楽園の夕べ ――ルシア・ベルリン作品集 文庫

9784065452974

ルシア・ベルリン作品集3巻目もついに文庫化ですか……時の流れは残酷よ……と、ここで「もしや4作目が単行本で出るのでは」とピンときた私、大正解でございました。『新しい人生 小説、エッセイ、日記』として完結、4巻目が10月21日に刊行予定とのこと。うれしい、しかしさみしい……。近々予約も開始しましょう……。

***

今週のお知らせコーナー

***

①定期読書会&定期イベント関連

・9月27日(日)14時〜16時 高橋くん読書会

→今回の課題本はスズキナオ『捨てた紙、捨てられない紙』(和久田書房)。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。

・12月6日(日)12時〜14時 「文学作品をわからないわからない言いながら読む会」

→今回の課題本はヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』(新潮社)。詳細と申込はこちらから。

・11月22日(日)14時~19時 刷る刷るクラブ(主催:FROM THE HELL MAGAZINE/ayano)。シルクスクリーンでええ感じのデザインを印刷しようぜ〜、というイベント。予約は不要、参加費と印刷したいもの(Tシャツとかトートバッグとか)を持ってきてください。あと世界平和の気持ちね。詳細はこちらから。

②特別イベント関連

・〈アーカイブ販売中〉9月5日(土)13時〜15時 岸波龍『四坪の本屋はなにを考えているのか』(書肆imasu)刊行記念イベント 「幕張と本郷の本屋はなにを話そうとしているのか」、無事終了しました。アーカイブ購入はこちら。

・〈店内イベント〉9月30日(水)終日 こだまさん在店イベント「急に新刊出しまくる」を開催します。読書会風味のトークイベント、こだまさんのレジ打ち、ゲーム大会。トークイベントだけ有料で申し込み必須ですが、そのほかは無料・自由参加です。こだまさんがあわあわしている様子を見守りに来てください。詳細はこちら。新刊『わからないまま母と生きる』(太田出版)も予約受付中。

・〈店頭フェア開催中〉「Write down your voice.」という日記プロジェクトを始めました。この世界を生き抜くための日記。そしてこの世界を変えるための日記。それを私たちの「声」で作っていくプロジェクト。店頭に設置した共有の日記帳に「あなたの日記」を書き込んでいく試み。気軽にそして真剣に、ご参加ください。詳細はこちら。

③読書のSNS&記録アプリ「Reads」のアカウントも取得、運用しています。個人的に読んでいる本を中心に紹介、ただただ楽しくやっております。ウェブストアでは「最近Readsで紹介した本」カテゴリも作りました。見るだけならウェブブラウザでもできるので、ぜひチェックしてみてください→本屋lighthouseのページ

④ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و

⑤2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。

***

出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。

この新刊チェックは無料にて配信していますが、投げ銭はいつでも大歓迎でございます(50円以上から設定可能ですので、気前が大変よろしいときなどにこちらからお願いします)。

***

無料で「本屋lighthouseのニュースレター」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら