新刊チェック(24/04/28-05/04)&お知らせ

新刊チェックやお知らせなど
関口竜平(本屋lighthouse) 2024.04.11
誰でも

月曜日の夜にタイから帰ってきて、どうにか日常に復帰しました。とはいえタイでも日常はそこにあり、バンコクの在イスラエル大使館前では抗議デモが行われたりしていました。その日はバンコクではなくカンチャナブリという場所にいて、そこを通るタイ・ビルマ鉄道博物館に行きました。この鉄道は第二次大戦中に日本が戦争捕虜や現地在住民を強制労働させて敷設したもので、いわば加害ど真ん中の歴史です。日本の歴史教科書や博物館的なところでは漂白され、巧みに「なかったことにされている」ことが多い支配と加害の歴史が、そこでは克明に記述されていました。そしてそのスピリットは、いまもなお続いているのでしょう。たとえば強制労働現場の劣悪な環境は、被災地への公的な支援がまともになされていない現状と重なるものを感じました。そんななか、戦争ができる国になることが正常かつ一流の国家の証なのだ、というような振る舞いが日本の総理大臣からなされたのを見ると、なおさらその感覚は増すばかりです。ちなみに、タイ・ビルマ鉄道を当時実際に運行していた蒸気機関車が靖国神社にあります。もちろんそこでは支配と加害の歴史は漂白され、鉄道が驚異的な早さで完成したという「功績」が記されているようです。

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新刊チェック(24/04/28-05/04に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます

ソウ・スウィート・パブリッシング読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門9784991221149https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991221149

“プッシー・ライオットの設立経緯から、かれらがロシア国内でおこなった数々のアクション、さらにはロシア当局に逮捕されたのちの苛烈極まる獄中生活までを綴ったトロコンニコワの手記である。また同時に、著者がそうした体験のなかから得た“実践的な知”を紹介する「生き方の指南書(サバイバル・ガイド)」でもある”。芸術と社会運動という枠組みで『アートワーカーズ 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践』も併せて読みたいですね。

のどまる堂猫と悪魔9784991343506https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991343506

“ジェイムズ・ジョイスが4歳の孫に宛てた手紙を元に絵本化しました。日本では38 年ぶりに出版されます”。まじか。これなら読める気がする……そしてこれを読めば「ジョイス?読んだことあるよ。おもしろく読めたかな!」とか言えちゃうぜ……。

白水社小さくも重要ないくつもの場面9784560090923https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784560090923

“父の再婚で新たに兄姉ができたリリ。一人が命を落とし家族を次々と悲劇が襲う。互いの関係を模索する再構成家族の姿と秘密を詩的に描く”。作者のことも知らないしこの紹介文だけではわからん……と思ったけど書影とあわせて見るとなんか気になってしまう謎の力がある……これがエクス・リブリスシリーズ……。なお、先週刊行になっているはずのハン・ガン『別れを告げない』はどうやら注文殺到のため当店には入荷せず。1冊でいいんですけどね。いずれ入ってくると思うので気長にお待ちくださいませ。

白水社ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]9784560092965https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784560092965

哀れなるものたち』のアラスター・グレイですね。新装版とあるように、だいぶ前に白水社で出していたものの復刊。“静かな怒りと哀しみ、リアリズムとファンタジーが混淆した作風で現代スコットランド文学を代表する鬼才の短篇集”。そういえばバンコクにある紀伊國屋書店で『哀れなるものたち』の原書があったので衝動買いしました。自分へのタイ土産はこれだけです。

今週のお知らせコーナー

①定期読書会関連のお知らせ

・5/4(土)14時〜16時 高橋くん読書会 *今回は土曜日開催です→今回の課題本、もといテーマは「掃除に関する本」とのこと。実用書ど真ん中から物語内の描写まで。ようはなんでもあり。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。

・5/26(日)14時〜16時 『物語とトラウマ』ゆる読書会→今回の課題本は多和田葉子の『地球にちりばめられて』です。詳細はこちらから

〈2日前だ!〉4月13日(土)に「おでんの会×スナック社会科」を開催します。日中はおでん&スナック社会科のブース販売、夕方以降にトークイベントとなります。トークイベントは17時から20時まで(店頭&配信・アーカイブあり)。登壇者は宮越里子さん、BARBARA DARLINgさん、司会にサトマキさん。詳細&申し込みはこちらから

③5月11日(土)に山内尚さんと清水えす子さんをお招きしてイベントを開催します。詳細とトークイベントの参加申込はこちらから(お茶会は自由参加です)。『ノンバイナリースタイルブック』『シミズくんとヤマウチくん われら非実在の恋人たち』の2冊のセット販売もしています。ご都合に合わせてぜひ。店頭受取も可能なので、ご希望の場合はウェブストアは通さず直接連絡ください

④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです旧ストアは完全に停止しようと思っていたのですが、無料プランに切り替えても7月くらいまで有料のままなので、Tシャツ売場にしました(新ストアにはTシャツ作成機能がないので)が、こちらもTシャツ作成機能が終了したのでSUZURIに移行しましたただいまセール中!)。

ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و

⑥2024年5月の文フリ東京を目標に、本屋運営に関するあれこれを書き連ねたZINEを作ろうと考えています。本屋の始め方とか続け方とか、そういう参考になるものは多ければ多いほどいいので、本屋lighthouse的本屋ノウハウZINE的なサムシングをば……。どちらかといえば実用書的な、テクニカルな話をしたいと思います。なので『ユートピアとしての本屋』とはまた違った角度から本屋を考える1冊になるので、あわせて読んだりすると私がよろこびます。ということで、どういうことが聞きたいか/知りたいか教えてください。目次が決まらなくて書き出せないのです。ちんちくりん。この記事へのコメントやbooks.lighthouse@gmail.comなどへ遠慮なくどうぞ。よろしくお願いします。

⑦2024年5月より営業時間を変更します。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。という大事なお知らせを末尾でこっそりしてしまいました。来週は冒頭でお知らせしたい。

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ということで、the letterでも新刊チェックを配信することにしました。substackで無料配信しているものはこちらにも流す予定です。有料配信のものは、当面はsubstackのみで配信します。ただ、substackが日本語対応しないままなので、こちらに移行する可能性もあります。いろいろ考え中。

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出版社の方へ:書評や本の紹介記事をこちらのレターにて配信することが可能です。執筆条件はこちらが叩き台になりますので、内容含め気軽にご相談くださいませ。

この新刊チェックは無料にて配信していますが、投げ銭はいつでも大歓迎でございます(50円以上から設定可能ですので、気前が大変よろしいときなどにこちらからお願いします)。

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